「……今までの被害者もそうだろう? お前の家族に似ていたから殺した……」
シローの脳裏に、己が命を奪った3人の姿がよぎる。
1人目の老婆。
彼女は家族に見捨てられて、1人で寂しく暮らしていた。
そんな境遇が自分と似ていて、ひどく惨めな思いをした。
哀れで、惨めで、情けなくて、孤独で、誰にも愛されない老人。
弱かった頃の自分を見ているようで、惨めで腹立だしかった。
だから殺した。
そうすることで弱かった頃の自分を消し去ることが出来るような気がしたから。
二人目の大学生。
彼は実家の親に金をせびってばかりの青年だった。
普段は親に電話などしないくせに、金が欲しい時ばかり頼ってくる。
自分の息子と似ていた。
金が無いからと自分を見捨てた息子の姿が青年と重なり、息子への憎しみが彼に被せられた。
息子への殺意を青年にぶつけて、復讐した気分に浸った。
3人目の会社員。
優しい妻と可愛い子供を愛する男。
騙されていたことも知らずに、家族に尽くしていた頃の自分と似ていて胸糞悪かった。
愚かな過去の自分と姿を重ねて、彼を殺した。
家族も許せなかったが、シローは過去の無知な自分も許せなかったから。
過去の自分を殺したかった、消したかったから。
だから似ている男を殺して、過去を消した気分に浸った。
「…………お、俺は…………」
身体が震えるシロー。
「……いくら似ていても他人は他人……お前の家族が死んだ訳じゃないし、お前の過去が消えた訳じゃない」
「……………………」
「彼らを殺して何かを得られたのか?」
黒斗の赤い瞳から逃げるように顔を背けるシロー。
「……まあ、今さら何を言ってもお前が罪人だということに変わりはないがな……だが、これ以上罪を繰り返すことはやめておけ……“来世”の為にもな」
それだけ言うと、黒斗はシローに背を向けて立ち去った。
「……………………俺が……やってきたことは…………何だったんだよ…………」
1人残されたシローは、生気が無い目で呟いた。
