「……………………ケッ、見ていてイライラする親子だぜ」
物陰に隠れて佐々木親子の様子を窺っていたシローが、ペッと唾を吐きながら呟いた。
「息子が偽善者なら母親も同じだなっ! 裏では汚いことを考えてるクセに、表向きは良い顔してる……俺が一番キライな人間だ!」
ブツブツと文句を言いながらゴミ袋を担(かつ)いで、住みかを目指して歩き出す。
「あっ、シローさんじゃないですか」
「チッ」
背後から胸糞悪いウシオの声が聴こえて舌打ちをするが、足は止めずに歩き続ける。
しかしウシオは無視をされたというのに気にした様子もなく、シローの横についた。
「今、帰りですか? 良かったら一緒に……」
「やかましいっ! 俺に構うなと言ってるだろうが!」
ウシオの顔を見ることなくシローは怒鳴ると、さっさと走って行ってしまった。
分かりやすい拒絶をされたウシオは、ただでさえ曲がっている背中を更に曲げて落ち込む。
「ハア……シローさんの人嫌い、治らないなあ……昔、何があったと言うんだろう」
ポツリと呟かれたウシオの独り言は、虚空に消え入るだけだった。
