時刻は夕暮れどき――
シローは1人、コンビニのゴミ箱を漁っていた。
(……チッ、出遅れたか。もう捨てられた後みたいだったな)
何も入っていないゴミ箱を見たシローがゴミ箱を蹴りつける。
「ママー、あのオジちゃん何でゴミ箱を見てるのー?」
「しっ! 指を差しちゃダメ!」
声が聴こえて振り向くと、幼い女の子がシローを指差しており、母親がそれを諌めていた。
シローがギロリと睨むと母親はペコリと頭を下げ、女の子の手を引いて店内に入って行った。
(ケッ、あのガキもせがれと同じで近い将来、ろくでなしになるだろうよ)
12年間、顔を合わせていない息子の姿を思い浮かべる。
最後に言われた言葉は何だったか、今でもシローは昨日のことのようにハッキリと思い出せる。
“何の役にも立たない親父なんか、生きてる価値も無いじゃん”
それが赤ん坊の頃から深い愛情を注いでやった息子が父親に向けた別れの言葉だ。
(今までの恩も忘れやがって……しょせんガキは親に媚びを売って小遣いを貰うことしか考えてねえんだ!)
足元に転がっていた小石を蹴飛ばし、コンビニを後にする。
大きさに反して中身がスカスカのゴミ袋を持ってトボトボと歩くシロー。
朝から歩き回ったのに収穫が少なかった為、自ずとテンションが下がっていく一方だ。
「お母さーん! 待ってよお~」
シローの暗い心中とは裏腹な明るく間の抜けた声が前方から発せられた。
声を出した人物――玲二は母親の佐々木と共に大きな買い物袋を抱えて歩いていた。
透明な買い物袋の中に入っているものは全て食材であり、パンパンに詰められている為に下手をすれば裂けそうだ。
(……あのガキ、昨日ぶん殴ってやったヤツじゃねえか)
「重たそうだから、お手伝いしましょうか?」と、いきなり声をかけてきたのでシローは迷うことなく、こめかみにパンチをかましてやった。
人を信用出来ないシローは、玲二の気遣いでさえも誰かの差し金ではないか、何か企んでいるのではないかと疑い、暴力に物を言わせたのである。
(アレが母親か……はん、子育てに向いてないタイプだな)
離れた場所から佐々木親子の様子を眺める。
