カツ カツ
不意に足音が狭い路地裏に響き渡り、シローがビクリと肩を震わせた。
(き、来やがった……!)
石を持つ手に力が入る。
眼球だけを動かして辺りの様子を窺(うかが)うが、真っ暗でろくに見えない。
ましてや黒斗は漆黒のコートを纏っている。
闇に紛れて、余計に姿が見えにくい。
カツ カツ
徐々に近づいてくる足音に、シローの心臓が激しく波打つ。
ここで見つかったら、もう逃げられない
逃げるチャンスがあるとしたら、まだ見つかっていない今――逃げ道を失う前にここから飛び出すのだ。
カツ
(今だっ!)
足音がした方向へ石を投げるシロー。
すぐさま鈍い音が聴こえ、命中したと分かるとシローは足音がした方とは逆方向に駆け出す。
しかし、駆け出すと共に足元に落ちていた物体を踏みつけて転倒してしまった。
「でっ!」
俯せに倒れこみ、胸部を強かに打ち付けるシロー。
そんな彼の眼前に、踏みつけた物体が引き寄せられているように転がってくる。
よく目を凝らすと、それは懐中電灯だった。
「……終わりにしようか」
背後から聴こえる声。
迫る殺気。
