───何度目だ?
だが、突然声が聞こえてシローは足を止めた。
(だ、誰だ!?)
辺りを見渡すが、誰も居なければ気配も無い。
(気のせいか…………チッ、俺としたことが……)
気を取り直して奈美子の居る方へ振り向くシロー。
だが、視界に入ったのは奈美子の後ろ姿ではなく髑髏(どくろ)だった。
「うわあああああっ!!」
シローは思わず悲鳴をあげ、尻餅をついてしまった。
「だ、だ、誰だ!? 何なんだテメエはっ! そのヘンテコな格好……死神にでもなったつもりか!?」
シローは震える指でドクロの仮面の人物を指差す。
死神になったつもりではなく、正真正銘の死神なのだが世間のニュースに興味が無いシローには、死神が起こしている事件など知らなかった。
身体が震えているのも死神に対する恐怖ではなく、心底驚いたからである。
一方、死神はシローの問いには答えずに、ゆっくり仮面を外して素顔を晒した。
「あ…………子供?」
死神――黒斗の顔を見て、シローは呆気にとられる。
「何度目だ?」
「あん? 何か言ったかガキんちょ」
相手が子供だと分かり、シローは余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)だ。
「人を殴り殺したのは何度目だ?」
「なっ……何でテメエが知ってやがる!」
黒斗が誰も知らない筈の秘密を知っていることに驚き、先程までの余裕が消え失せて冷や汗を流すシロー。
「…………答えられないのか?」
「う、うるせえ!! テメエには関係ねえことだろうが!」
動揺を隠す為に、シローは虚勢(きょせい)を張った。
だが黒斗は無表情のままシローへ近づいてくる。
「お前が人を殴り殺したのは、昨日で三度目だ。一度目は老婆。二度目は学生。三度目は会社員……」
「…………っ」
自分が犯した罪、殺した人物――それら全てを知っている黒斗に対するシローの印象は、単なるガキから得体の知れない人物へと変わっていた。
冷や汗を流すシローに黒斗は続ける。
