「……と、言う訳なんだよ!」
エヘン、と咳払いをしながら内河は遅れた原因を説明し終えた。
「ハア…………ま、まあ間違ったことはしてないな」
確かに内河は暴力を諌(いさ)めるという良いことをしてるのだが、動機が動機だけに素直に誉められず、鈴は言葉を濁(にご)した。
「だろっ、だろ? 俺のこと見直した? 惚れた!?」
「あ、いや……惚れてはないけど、まあ見直した……かな?」
さりげなく放れた“惚れてない”発言に、内河がピシリと効果音でもつきそうな固まり方をした。
「はーい、朝礼始めま……って内河くん、入口で立ち止まってるんじゃないわよ! 皆の邪魔でしょーが!」
「ふわあああい!!」
佐々木に怒鳴られ、内河と鈴は慌てて自分の席に向かった。
「はい、皆も静かにしなさい! 先生が入ってきたら黙ろうと思わないの!?」
怒鳴り散らす佐々木に生徒達も騒ぐことを一斉に止め、無言で席に座っていった。
普段から佐々木はキツい物言いだが、今日は特にキツい。
機嫌が悪いことが明らかな担任に、いつも無礼な生徒達もこれ以上怒らせないように押し黙る。
触らぬ神に祟りなし、というヤツだ。
しかし、こうやって人が集まっている場所には大体1人くらいは災いを招く人物が居るものである。
当然、このクラスにも。
