「……同じ、じゃない……! こんな、他人を何とも思っていない女と僕が一緒な訳ない! 僕はコイツと違って、人を大切に出来る、家族を愛することが出来るんだ!!」
首を振って否定する伸也。
だが、黒斗は彼を哀れむような眼差しで見つめている。
「……小野寺と山根を死に至らしめた時、お前は少しでも罪の意識を感じたのか?」
「っ……!」
─僕は人生を狂わされた哀れな男、アイツは人間の屑
─これも復讐の為なんだ、仕方ないんだ
─そう思っていただけで、彼女達に罪悪感など抱いてはいなかった
─同じ?
─僕もアイツと同じで、他人の犠牲を厭(いと)わない屑――
「……ちがああああうっ!! 僕はアイツと違ってマトモな人間だ! 自分のやっていることが間違ってるという認識が、ちゃんとある!」
「間違ってるという認識があっても、お前は他人を死なせることに良心の呵責(かしゃく)も無かった……十分狂っている」
「黙れえええぇぇ!!」
伸也は残された力を振り絞って黒斗に向かって走り出し、彼のデスサイズを奪い取った。
