ラブホテルの一室
「あ…………ぐぅ…………」
伸也の背中から胸を貫通しているデスサイズの刃。
刃が貫いている傷口からは赤い染みがジワジワと広がり、強い熱を帯びている。
「……げはっ」
吐血する伸也。
痛みのあまり悲鳴をあげそうになるが、ソレを堪えて黒斗の首を絞め続けている。
「……まだ、そんな力が残っているのか」
鋭く長い切っ先は伸也の胸を貫き、そこから更に黒斗の胸を貫通している。
首は絞められ串刺しにされているというのに、黒斗が痛みに苦しむ様子はない。
「このっ……化け物、め……! だが……僕は、死なん……!」
敵わないと分かっていても抗(あらが)うのは、罪人である弟を1人にする訳にはいかないという思いからだ。
復讐を終えた伸也の生きる意味は弟だけ。
恵太郎が生まれた時から側に居て、支えて、両親よりも世話をしてきたと自負している。
ずっと共に生きていこうと――だから罪がバレないように入念に作戦を練って復讐を果たしたというのに。
殺されては意味が無い。
「……そろそろ終わりにしようか」
「なん…………」
ズジャアッ
「ぐああああああああっ!!」
伸也が言葉を紡ぐ前に、貫通していた刃が一気に引き抜かれた。
黒斗と伸也、2人の傷口から大量の血が噴き出て床や壁に飛沫(しぶき)が飛び散り、部屋を赤く塗り替えていく。
