「……アイツ、自分で俺のことを襲ったくせに素知らぬ顔して、いつも通りに振る舞っていたのか……そして……今度は……兄ちゃんを殺したっ!!」
死神の恐ろしさを身をもって知っている恵太郎は兄の死を悟り、その場に尻餅をついた。
「チクショウ!! チクショウ!! 何なんだよ……アイツ、俺達兄弟に何の恨みがあるってんだ!! 兄ちゃん……兄ちゃんまで殺しやがって!!」
恵太郎は絶叫し、拳で床を叩きつけた。
「兄ちゃん……兄ちゃんっ!! ウワアアアアアアッ!!」
皮膚が割れたのか、血が流れてきたが恵太郎にはそんなことどうでもよかった。
兄を殺される怒りと悲しみ。
それだけが心を支配していた。
「……死神が憎いか?」
不意に口を開いた大神の言葉に、恵太郎は拳を止めて頷いた。
「……憎いっ!! 憎い憎い憎い憎い!! 殺してやりたいほど憎い!!」
涙を流しながら、そう叫ぶ恵太郎の手を大神がとった。
「僕に着いてくるといい。君が死神に復讐出来るよう、手伝ってあげるから」
その言葉に恵太郎は顔を上げて大神を見た。
「……本当か?」
コクリと頷く大神。
「…………いいだろう……行ってやるよ! アイツに……月影に復讐できるなら、悪魔にだって死神にだって魂を売ってやる……!!」
憎悪を秘めた目をしながら言いきった恵太郎に、大神は満足そうに何度も頷いた――。
