「…………何度目だ?」
「な、何がだい?」
平常を装うとするが、恐怖感から声が裏返る。
「女を騙して麻薬を混入したのは何度目だ?」
「っ……! どうして君がソレを知ってる!?」
「こちらの質問に答えてもらおうか」
無表情のまま答える黒斗の威圧感に圧され、伸也は素直に質問に答えた。
「……3回だ! 今日……このバカに盛って3回になった!」
床に転がって暴れる芽衣を指差しながら伸也が言うと、黒斗は黙って頷いた。
すると、黒斗の頭上に漆黒の穴が開き、そこに右手を入れてデスサイズを引っ張り出した。
「…………あっ…………」
黒いコートと巨大な鎌。
それらを身につけた黒斗の姿を見た伸也は確信した。
彼こそが、世間を騒がせている“死神”なのだと――。
「……死神は君だったのか…………君が、僕の弟を襲ったのか……!」
恐怖を怒りに変えた伸也は黒斗を睨み付けた。
顔中の痛みを堪えながら立ち上がり、黒斗の胸ぐらを掴む。
「どうして恵太郎を、あんな酷いめに合わせたんだっ!! お前のせいで弟は……どれだけ苦しんだと……!」
「……俺だって誰彼構わずに襲ってる訳じゃない。お前の弟は罪を繰り返していた。だから裁きを下しただけのこと」
「恵太郎が……罪を繰り返していただって?」
目を丸くする伸也。
─そんなバカな
─恵太郎は確かに意地が悪い一面はあるが、罪を犯すだなんて
混乱する伸也の手を振り払うと、黒斗は淡々と恵太郎の犯した罪について語りだした。
「お前の弟は3回、おやじ狩りをしていた。弱い相手に暴力を奮(ふる)い、なけなしの金を強奪した。中には、奴に金を奪われたせいで一家心中した者もいたな」
「そ、そんな……」
自分が人としての道を踏み外したからこそ、弟には真っ当に生きてほしいと願っていた。
それなのに。
弟のせいで人生を狂わされ、家族と共に命を絶った者が居る。
手を下していないだけで、弟が殺したも同然じゃないか。
「……恵太郎……お前はバカだ。兄弟揃って罪人だなんて……母さんや父さんにどんな顔をすればいいんだよ……」
ショックのあまり、涙を流す伸也。
