「…………あれから、僕は君に復讐することだけを考えて生きてきた。死に物狂いでダイエットして、君が興味をひきそうな“イケメン”になったんだ」
「あ…………げぇ……」
鼻水と唾液で顔がベチャベチャになった芽衣から手を離す。
すると芽衣はヘナヘナと倒れこんだ。
「過去とは違う姿に君は全く気づかなかったねえ……ビフォーアフターは侮(あなど)れないよ」
「……げへへっ………」
麻薬で完全にラリったのだろう。
もはや芽衣には伸也の声など聞こえておらず、ただ不気味に笑っているだけだった。
「君に近づき、頼みをきき、信用させてから仕留める……完璧に作戦通りだ。……おや、もう聞こえてないみたいだね」
冷ややかに芽衣を見下ろすと、伸也は芽衣の横を通りすぎてドアノブを掴んだ。
「……ひあああっ!! む、し! むかでが、ハチ、がっ! いやああああっ!!」
幻覚が始まったようであり、芽衣は悲鳴をあげながら手足をバタつかせている。
「……因果応報。これが僕の復讐で、君への裁きだ」
振り返ることなく冷酷に言い放つと、伸也は握っていたドアノブを回した。
ガチッガチッ
「…………えっ?」
ドアノブを回しても扉は開かない。
「何でだよ……鍵はかかってないのに」
ガチャガチャ
いくら回しても扉は開く気配がない。
「クソッ、立て付けでも悪いのか?」
苛立ちを露に伸也は、扉を押したり蹴ったりするがビクともしない。
その時
ガツッ
背後から誰かが伸也の頭を押し、勢いよく伸也は顔を扉に打ち付けた。
「グギャッ」
潰れたカエルのような声を出しながら、伸也は顔を扉につけたままズルズルと崩れ落ち、膝をついた。
「いっ…………あああっ!!」
伸也は痛む顔を両手で覆った。
