生徒指導室を出た伸也は、真っ白な頭のままフラフラと歩いた。
伸也に下された処罰は“退学”。
当然、推薦入学の話も無かったこととなった。
─どうして、こんなことに
伸也の頭の中では、その言葉だけがグルグルと回っていた。
「あらあら、伸也さん可愛そう」
昨日までは癒される声だったのに、今となっては吐き気を催(もよお)す程の嫌悪感たっぷりの声が聞こえて振り返る。
「ごめんねっ。最近あんまりにも退屈だったから、刺激とか面白い光景とか見たかったのお。もしかして伸也さん、怒ってる? 怒ってないよね、伸也さんは芽衣のこと愛してる訳だしっ!」
キャハッ、と笑う芽衣を、伸也は黙って見つめている。
「…………芽衣ちゃん」
不意に伸也の口が開かれ、地の底から沸き上がってくるような低い声で喋り出した。
「芽衣ちゃんは、どうして、こんなことしたの? 僕のこと、愛してたんじゃ、好きなんじゃなかったの?」
虚ろな瞳をしながら紡がれた伸也の言葉を、芽衣は鼻で笑い飛ばした。
「芽衣がアンタのこと好きだって!? ただ遊んでやってただけなのに、思い上がってんじゃないわよ! バーカッ!」
「……あっ」
目を見開き固まる伸也。
一方、芽衣は言いたいことを言ってスッキリしたのか、スキップをしながら去っていった。
「……………………」
1人佇(たたず)む伸也。
「ククッ……」
笑い声と共に口角が吊り上がる。
「ハハッ……アッハハハ……」
虚ろな瞳をしたまま伸也は笑い出した。
乾いた笑い声を発しながら、濁りきった目から一筋の涙が零れ落ちる。
「…………絶対に、許さない」
ポツリと呟かれた言葉は、虚空(こくう)に消え入った。
