翌日の朝
(……うぅ~、頭が痛いよう……)
二日酔いで痛む頭を押さえる伸也。
朝、起きた時は自分の部屋のベッドに居た。
昨日の記憶がカクテルを飲んだ所までしかない伸也は、母親にどうやって帰って来たのかと尋ねたら芽衣が送ってくれたことを聞かされた。
(悪いことしちゃったなあ……学校で会ったら謝らないと)
芽衣に迷惑をかけてしまったことに落ち込む伸也。
とにかく謝らなければ、と学校へ急いだ。
学校へ辿り着いた伸也は、昇降口に人だかりが出来ているのを見かけた。
「……?」
不思議に思いつつも中に入り、自身の下駄箱へ向かおうと人波を押し退けて前に出る。
すると、彼の目に信じられない物が映った。
「……え?」
床、天井、窓、下駄箱。
ありとあらゆる場所に、大量の写真が貼りつけてある。
そして、その写真に写っているのはカクテルを飲酒する伸也の姿。
「…………あの竹長が飲酒とは、なあ」
1人の男子生徒の呟きで、茫然自失だった伸也が我にかえった。
「ウワアアアアアアアアッ!!」
突如叫びだし、伸也はあちこちに貼られた写真を引き剥がしていく。
「違う違う違う違う違う!! これは僕じゃなあいっ!!」
涙と汗でグチャグチャに汚れた顔で絶叫する伸也。
しかし、生徒達は彼を白い目で見つめる。
「受験のストレスかねえ、やっちまったなあ」
「これは言い逃れ出来ないわね」
「キモいのは顔だけじゃなかったか」
ヒソヒソと話された言葉だったが、伸也の耳にはハッキリと聴こえていた。
「違うよ、これは何かの間違いだっ!! 誰かの陰謀(いんぼう)だっ!!」
必死に弁解するが、誰1人として伸也の言葉を信じる者は居ない。
「違う、違う……僕じゃないよ…………」
まるで死を宣告されたような絶望感を漂わせる伸也。
「……クスクス」
不意に耳に届いた聞き覚えのある笑い声。
バッ、と勢いよく首を動かしそちらを見ると、芽衣が笑っていた。
─まさか、君が?
芽衣に嵌(は)められたことを確信する伸也。
「お前、だなっ!! お前の仕業だなあっ!!」
「おい竹長! 今すぐ生徒指導室に来るんだ!」
芽衣へ飛びかかろうとした伸也だったが、担任教師に腕を掴まれ阻止される。
「は、離せっ! アイツだ、あの女が僕を嵌めたんだああああ!!」
教師に引き摺られながらも尚、伸也は叫び続けた。
だが、その叫びは誰の心に届くこともなく、ただ虚(むな)しく響き渡るだけだった。
