ナイトクラブ内
初めてナイトクラブに入った伸也は、店内の騒々しさと派手な点滅に言葉を失う。
しかし、ドラマやマンガで見るものとはまるで違う、現実でしか味わえない独特の雰囲気に、入る前は渋っていた伸也の気分がどんどん高揚(こうよう)していき、流れる音楽に合わせて足踏みを始めた。
「お待たせえっ! 飲み物持ってきたよ~!」
そう言ってやって来た芽衣の両手に握られているのはカクテルが入ったグラス。
これにはテンションが高くなっていた伸也もギョッとする。
「これ、お酒じゃないか! マズイよ芽衣ちゃん!」
「芽衣はいつも飲んでるしい、他に誰も見てないじゃん。ここまで来て飲まないとかありえないからっ!」
有無を言わせない口振りで、芽衣は強引に伸也へグラスを手渡した。
「伸也さんはいつも勉強頑張ってるんだし、たまには羽目を外してもいーんじゃない?」
ニッコリと可愛らしく笑う芽衣。
「……分かったよ。それじゃあ……頂きます!」
そんな芽衣に折れた伸也は、一気にカクテルを飲み干した。
「……プハア!」
「わー、豪快な飲み方! どーだった?」
「…………気持ち良い…………」
生まれて初めての味、そして口にするのが難しい快感を感じる伸也。
更なる快感を得たくて、伸也は空っぽになったグラスを芽衣に突き出した。
「芽衣ちゃん、おかわり」
「は~い!」
パシられる芽衣だったが、彼女は嫌な顔1つもせずにカクテルを注ぎに行った。
「はい、伸也さん。ボトルごと持ってきちゃった」
芽衣はテーブルにカクテルボトルを置き、伸也と共に席へ着いた。
「ありがとう芽衣ちゃん。……ングッング」
またもや一気にカクテルを飲み干す伸也。
グラスが空になる度に、気前よく注ぐ芽衣。
そんな事を繰り返している間に、伸也はぐでんぐでんに酔っ払い、やがて意識を手放した――。
