シャアアア
身体の汚れを気分良く落としていく伸也。
降ってくるお湯は、汚れだけでなく疲れも落としてくれているような気がした。
ドンドン、ドン
(……?)
シャワールームの扉を、勢いよく、しかしリズム悪く叩く音が耳に届く。
(…………山根か?)
光の姿を思い浮かべ、伸也はシャワーを止めると脱衣場に向かい、メガネだけを掛けて扉を開いた。
「じ、んざっ!! だずげ、で!」
扉が開かれると同時に、濡れたままの伸也の足を這いつくばっている光が鷲掴みにした。
「ひ、光ちゃん?」
不意討ちに驚いた伸也が足下の光を見下ろす。
「だず、で、ぐるじい、ぐるじのおおぉ…………」
瞳孔(どうこう)を大きく開き、焦点の合わない光。
目からは涙を、鼻からは血混じりの鼻水を、口からは泡とよだれを流しながら、必死に伸也にすがっていた。
─この状態、もしや――
冷静に光の状態を分析した伸也は、ゆっくりと口を開く。
「……もしかして、麻薬を打ったの?」
ブンブン、と首がちぎれそうな勢いで光が首を振った。
