数十分後――
何とか伸也に見つからずに、順調に尾行を続けていく黒斗達3人組。
しかし、伸也は商店街や店の中をブラブラしているだけで、一向に女と会う気配は無い。
そんなこんなで、今、伸也と黒斗達は人気の無い寂れた商店街に居る。
ボリボリ
「歩き回っているだけじゃないか……本当に女と会うのか?」
ボリボリ
「せやな……まあ、ケイちゃんが勝手に女が出来たって騒いどるだけかもしれへんし……」
ボリボリ
「ブラコンが暴走しただけの妄想だろ」
ボリボリ
「証拠もあらへんしな」
ボリボリ
「………………………………」
同時に背後を振り向く黒斗と鈴。
そこに居るのは、チップス菓子をボリボリと耳障りな音をたてながら貪(むさぼ)る玲二だ。
ボリボリ
「…………うるせえ!」
我慢の限界に達した黒斗が玲二から菓子袋を取り上げた。
「ふわっ!? か、返してよ兄貴ー!」
「うるさい。大体、菓子をボリボリ食いながら尾行するバカがあるか!」
「だって、お腹が減ったんだもん……」
肩を落として落ち込む玲二。
「あっ、誰か来たで!」
鈴の声を聞いて、黒斗も玲二は伸也に注目した。
1人の若い美女が、伸也に駆け寄ってきた。
腰まで伸ばされた長く艶やかな黒髪。
白い長袖のシャツに、鮮やかな赤色のロングスカートを組み合わせた服装がよく似合っており、清楚(せいそ)な雰囲気を醸(かも)し出していた。
「ごめんなさい、遅れてしまって……」
「大丈夫だよ、僕も今来たばかりだから」
美女は伸也に頭を下げると、胸を押さえて呼吸を整え始めた。
そんな何気ない動作の1つ1つが優雅かつ上品で、彼女の美しさを一層引き立てる。
「あ、あの人が伸也って人の彼女!? めちゃくちゃ綺麗な人じゃん!」
荒い鼻息の玲二が身を乗り出して、感想を述べる。
