午後16時前
ガチャ
事前に教えられた通り、伸也が自宅から外に出てきた。
そんな彼を、ブロック塀に隠れて見つめる影が3つ――。
「こちら玲二。ターゲットを発見した、これよりスニーキングミッションに入る」
「うむ。良いか玲二、くれぐれも我々の痕跡(こんせき)を残してはならない、見つからないことを最優先とするのだ、良いな」
携帯を耳に当て、妙な会話をする鈴と玲二。
ちなみに携帯は通話中になっていないし、そもそも携帯など使わなくとも2人は至近距離に居て、会話だって普通に出来る。
「……お前ら、ふざけてんのか?」
「ヒィッ、すいません!」
黒斗がギロリと睨むと、2人は慌てて携帯を閉まった。
気を取り直して、黒斗達は伸也の監視を続ける。
ちなみに玲二が居るのは、人手が多い方が良いという鈴の提案を恵太郎が了承し、ヘルプとして呼んだからだ。
むしろ、人が多いと見つかりやすくなるのでは――というツッコミを黒斗は飲み込み、玲二も交えて作戦を開始した。
「……いいか佐々木、くれぐれも騒いだりするなよ?」
真っ先にヘマをしそうな玲二に黒斗が釘を刺しておく。
「大丈夫だって兄貴! オレ、ステルスゲームをノーアラートでクリアしたことあるんだから!」
「ホンマに!? スッゴいなあレイちゃん!」
「……現実とゲームを一緒にするな」
現実のステルスを甘く見ている玲二の言動に、黒斗は頭を抱えた。
「もう、兄貴は心配しすぎだよ。オレに任せて! こんなミッション、インポッシブルだよ!」
「レイちゃん、インポッシブルって“不可能”っちゅう意味やで」
「ウソ!?」
(…………不安だ。不安しか無い…………)
心配要素が盛り沢山の玲二に、黒斗は頭痛を覚えるのだった。
