グッ、と拳を握り締めて力説する恵太郎。
そんな彼を、生温かい目で見つめる黒斗と鈴。
「だから! だから、お前達に兄ちゃんをストーキングしてもらって、相手がどんな女か確かめてほしいんだよ! 俺は足がこんなだから、コッソリつけるとか出来ないし、他に頼める信頼ある奴なんか、お前ら2人しか居ない……頼む!」
深々と頭を下げる恵太郎。
プライドが高い彼が、他人に頭を下げてまで何かを頼むことなど、今回が初めてだった。
理由はともかく、あの恵太郎が精一杯の誠意を見せたのだ。
ここまで頼み込まれて、断ることなど出来ようか。
黒斗と鈴は顔を見合わせて頷き、鈴が口を開いた。
「分かったわケイちゃん。そのお願い、きいたるわ」
「ほ、本当か! 恩にきるぜ!」
いくら友人の家族とはいえ、人のプライベートを覗き見するのは気が進まなかったが、恵太郎の自立の為にと鈴は自分に言い聞かせた。
それに、伸也の小野寺に関する言動に覚えた引っかかりも解消されるかもしれないという考えもあった。
「じゃあ早速、作戦を練ろうぜ! まず、兄貴が出かける時間は…………」
モヤモヤとした気持ちを抱える鈴とは逆に、恵太郎はイキイキとした様子で作戦会議を始めた。
