「人が裁けないのなら……人ならざる者が…………死神が裁けば いいんじゃないのか?」
大神の言葉に、無表情だった黒斗の眉がピクリと動いた。
「死神、か…………いくら無差別の殺人鬼でも、そう都合よく罪人を殺すのか?」
「僕はね、死神は無差別に人を襲ってる訳じゃないと思ってる…………例えば、悪党だけを狙ってるとか……何か理由があるんじゃないのかな」
「悪党って……ケイちゃんは悪党ちゃうで!」
身を乗り出す鈴を黒斗は片手で制し、大神の赤い目を見つめる。
「……死神を美化しすぎじゃないか、転校生さんよ」
「別に美化しすぎてる訳じゃないさ。もし、そうだったらなって考えただけだ」
口角を僅かに吊り上げる大神に、黒斗は舌打ちをする。
「…………仮にそうだとしても、人の命を奪っている時点で死神のやっていることは罪であり、許されたことじゃない。軽々しく、死神が悪人を殺せばいいとか言うな」
目を細めて大神をギロリと睨みつける黒斗。
しかし大神は そんな彼をバカにするように へらへらと笑っている。
「正義感アピールどうも……そろそろ失礼させてもらう。僕は暇人じゃないからな」
「あ、ちょっと待ってや!」
鈴が呼び止めるが、大神はさっさと病院の出口に向かって歩いて行く。
「じゃあね、偽善者さん達。君達は もう少し、世の中の汚さというものを知った方が良いと思うよ」
背中を向けたまま手を振り、大神は2人の前から立ち去っていった。
「偽善者…………」
大神が去り際に発した言葉を虚ろな表情で呟く鈴。
「……気に入らないな、アイツ……」
一方、黒斗は眉間にシワを寄せて不機嫌な表情を浮かべるのだった。
