デスサイズ

伸也のあの様子や口振りから、鈴はそう思っていたのだが、勘違いだったのだろうか。


「……だから、お前の兄貴に女が出来たからって、何で俺達がストーキングしなくちゃいけないんだ」


うーん、と唸る鈴を尻目に、黒斗はやる気のなさそうな顔で呟いた。


「……兄ちゃんは、弟の俺が言うのも何だけど、顔も性格もイケメンだし、相当モテると思う」

「自慢か……ブラコンめ」

「真面目に聞けよ!」


茶々を入れる黒斗を一喝(いっかつ)し、真剣な眼差しの恵太郎は言葉を続ける。


「……周りからも、よくお兄ちゃんっ子って言われるし、俺自身も兄ちゃんにベッタリくっついて甘えすぎだとは思う。いい加減に兄ちゃんから自立しなくちゃとは思ってんだけど、なかなか出来なくてさ……」

自嘲(じちょう)気味に恵太郎が笑う。


「だから、兄ちゃんに女が出来たということは俺にとっては自立のチャンスなんだ。兄ちゃんには心に決めた人と幸せになってほしい。ただ…………」

「ただ……?」


鈴が復唱し、恵太郎の言葉を待つ。



「その女が、兄ちゃんに相応しい奴じゃなきゃ俺は結婚を許さねえんだ! 兄ちゃんの容姿だけに惚れただとか、兄ちゃんの人の良さにつけこんだだとか、そんな性根(しょうね)の腐った女に兄ちゃんをくれてやる訳にはいかねえっ!!」