「分かった分かった、言い方を変えるよ。……つまり、兄ちゃんをストーキングしてほしいんだ」
「……………………」
本当に言い方が違うだけの訂正に、黒斗は呆れたような溜め息を吐いた。
「って、何溜め息なんかしてんだよ月影! 俺のことバカだと思ってるような目で見てきやがって!」
「思ってるような、じゃない。思っているんだ」
「にゃにおー!」
睨みあう黒斗と恵太郎。
そんな2人の間に鈴が入り、手をかざして止めに入る。
「はいはい、話が進まんからケンカはやめときや。ストーカー云々(うんぬん)はともかく、一体どないしたんよケイちゃん」
「あ、ああ……実は……兄ちゃんに…………女が出来たかもしれないんだ!」
「……………………………………」
─だからどうした
それが、いかにも重大そうに発せられた言葉へ2人が抱いた率直かつ素直な感想であった。
「……えっと、伸也さんに彼女さんが出来たってこと? 良かったやん。な、クロちゃん」
「ああ、そうだな、良かったな、実にめでたいな」
「ちょっと待て! 適当すぎる反応だろ! それと月影、お前は棒読みやめろ!」
関わりたくないというオーラを微塵(みじん)も隠そうとしない黒斗に恵太郎がツッコミを入れる。
(……あれ? 伸也さん、小野寺さんが好きやなかったんか?)
小野寺の死を聞いた時の伸也の反応を思い出し、首を傾げる鈴。
