40分程度の時間が経過した頃――
恵太郎の自室には、部屋の主の他に黒斗と鈴の姿があった。
「……で、俺達に何の用だ? こんなメールを送ってきて……」
不機嫌そうに黒斗は、恵太郎に向けてズイッと画面を突き出した。
画面に表示されているのは、恵太郎が送信したメールの文章。
『学校が終わり次第 至急、我が家に来られたし』と書かれている。
小野寺の事件があって学校が午前中に終わり、黒斗も鈴も暇を持て余していた所に、このメールが届き、恵太郎の家にやって来たのだ。
「……ああ……実は……頼みたいことがあるんだ」
恵太郎の真剣な表情から、ただ事では無い空気を感じとり、無意識に黒斗と鈴の身体が強張る。
すぅっ、と恵太郎が息を吸い込み、そして唇を動かした。
「……頼む、一生のお願いだ。兄ちゃんをストーカーしてくれっ!」
「………………………………は?」
恵太郎の口から放たれた爆発発言に、思考がフリーズする黒斗と鈴。
開いた口が塞がらない2人とは対称的に、何故か恵太郎は仕事をやり遂げた職人のような清々しい顔をしていた。
「あの……ケイちゃん? ストーカーって何やの?」
どうにか言葉を発することが出来た鈴だが、恵太郎は信じられないと言わんばかりの表情で彼女を見つめている。
「お前ストーカーも知らねーの!? よくソレで女をやってられるな!」
「ストーカーの意味が分からんっちゅう訳やない! 何でウチらが伸也さんのストーカーにならなアカンねんって意味や!」
的外れな恵太郎の言葉に、鈴がキレがあるツッコミを入れた。
さすがは関西人、ツッコミさせたら一流――と、黒斗は関係ないことを思いながら2人のやり取りをボンヤリ見つめている。
