デスサイズ



女性の名は、榊原 芽衣(さかきはら めい)。

この辺りでは、赤羽病院の次に大きな榊原病院の院長の一人娘である。

25歳という立派な大人の女性なのだが、幼い頃から蝶よ花よと可愛がられ、甘やかされてきたせいか未だに少女気質が抜けていない。

ちなみに、伸也と芽衣は恋人の関係にある。

伸也が勤めるホストクラブに芽衣が客として来た時に、伸也の方から彼女に惹かれたのだ。

芽衣も美男子に告白されて満更でもなく、ある条件付きで2人は交際を開始した。





「ねえねえ、成功したってホント? 芽衣があげた薬、役に立った?」

伸也の腕をグイグイと引きながら、一緒にベッドを座らせる芽衣。


「ああ。コッソリとコーヒーに仕込んでおいたら、見事に引っ掛かってくれたみたいだよ」

「さっすが伸さん! そして、小野っちは相変わらずのバカだね! ざまーみろって感じ! スッキリしたあ!」

芽衣はケラケラと笑いながらベッドの上に寝転がった。



彼女が言った「小野っち」とは、小野寺 詩織のことである。

芽衣と小野寺は幼馴染みであり、小・中・高一貫して同じ学校に通った仲の良い親友――“だった”。


半年前から、芽衣と小野寺の間柄は険悪なものへ変わっていた。

きっかけは“金”という些細な――しかし大きな問題。

両親から甘やかされている芽衣ではあるが、さすがに小遣いは人並みだ。

だが金遣いが荒い芽衣は、すぐに小遣いを使い果たしてしまう。

貰える小遣いが足りず、思う存分に遊べない芽衣は、親友の小野寺に頼み込んで金を貸してもらったのだ。


しかし、芽衣は貸してもらう度に使い、返さない内にまた使いきってしまう。

こんなことばかりが繰り返される為、さすがに心が広い小野寺も怒りを覚え始めた。

金を返してほしいと芽衣に文句を言ったのだが、芽衣は小野寺を無視し、あわよくば借金を踏み倒そうとしていた。

小野寺も芽衣も互いに譲る気も無く、いつしか芽衣の中では小野寺の存在が邪魔になってきていた。