「……まだ詳しくは分からないんですけど……自殺……らしいです」
黒斗が言っていた麻薬については、あえて触れないことにする。
確証がある訳ではないし、直接小野寺が錯乱した場面を目撃した訳でもないのだから。
「……そんな…………小野寺さんが……」
うつむき、低い声を発する伸也。
伸也が小野寺に好意らしき感情を抱いていると思っている鈴も自ずと落ち込む。
「あの、その……伸也さん……」
言葉をかけようとするが、何を言えばいいのか分からない。
─お気の毒でした?
─元気を出して下さい?
─あまり気を病まないで?
どれもが安っぽく、気休め程度にしか思えず、鈴が紡いだ言葉は不自然に中断してしまう。
そんな彼女を気遣ったのか、伸也は柔らかい笑みを浮かべて明るい口調で話し始める。
「君が気にすることじゃないよ! ほら、僕みたいなホストと真面目な小野寺さんじゃ釣り合わないから最初から駄目だったというか……ああ、何を言ってるんだ僕は」
荒唐無稽(こうとうむけい)なことを言った伸也は、自分で自分の頬を叩いた。
「……ぷっ。伸也さんってば……」
思わず吹き出してしまう鈴の頭に、伸也の小ぶりな手のひらが乗せられ無遠慮に撫で回される。
「やっぱり鈴ちゃんは笑ってる方が可愛いよ。僕のことは気遣わないで」
「は、はい……」
美しい伸也の顔が目の前に迫り、無意識のうちに鈴の顔が赤く染まった。
「じゃあ、僕は行くね。またウチに遊びにおいで」
「はい!」
ブンブンと元気よく手を振る鈴に手を振り返し、伸也はその場を後にした。
しばらく歩き続けた後、伸也は携帯を取り出すと短文のメールを打ち出す。
文章はたった一言、『成功した』とだけ書かれていた――
