「オッス、待たせたな月影」
恵太郎の声が聞こえて、そちらを見ると、既にゲームを終わらせた恵太郎と鈴がこちらを見つめていた。
「ああ。久しぶりだな竹長」
「あ、ああ」
黒斗と目が合った途端、恵太郎が表情を歪ませ、顔を背けた。
やはり死神と同じ赤い目を見ると、どうしても拒否反応が出てしまうようだ。
「悪い……」
恵太郎自身も、友人に対して失礼な態度をとっていると思っているのか、バツが悪そうな顔で謝罪を口にする。
「仕方ないことだろう。俺は気にしてないさ」
本当に気にしていない黒斗は軽い口調で言い、鈴も頷きながら黒斗の隣に座った。
「でも、本当に久しぶりやなケイちゃん。あれから、変わったこととか無かったんか?」
「特には無いな。……ただ、お袋がうるさかっただけで」
げんなりした様子で恵太郎が続ける。
「お袋が見舞いに来る度に、“可愛そうな恵太郎ちゃん!!”とか“お母さんが死神から守ってあげる!”とか言いながら、ギュウウウって抱き締めてきたんだよ……別に抱き締めるのが悪い訳じゃねえけど……その……な……」
「アハハ……」
あの巨体が細身の恵太郎を潰しそうな勢いで抱き締めるイメージが容易に想像でき、黒斗と鈴が乾いた笑いを発する。
「……で、そっちはどうなんだよ?」
「ウチらは……まあ色々あったけど、一番大きいのは、やっぱクロちゃんに舎弟が出来たことやな!」
何故かドヤ顔で言う鈴。
一方、恵太郎は頭上にハテナマークでも浮かんでいそうな表情だ。
まあ、いきなり“舎弟”が出来たと言われては無理もないだろう。