「がっ、ゲボッ、ゴホッ!!」


ようやく空気を吸い込むことが出来たが、傷の痛みと絞められた後遺症から咳き込み、吐血する。

しかし、黒斗は構うことなく鎌の切っ先をみどりの目の前に向けた。


「お前はやりすぎた。犯した罪に対する罰を受けてもらう」


「……な、に言ってんの……私は、間違って、ないわっ……!!」


声帯を痛めたのか、掠れたがらがら声でみどりは言葉を発した。


「私は、ずっと自由が無かった……夫に騙されて結婚して、暴力を振るわれて、娘を守りながら生きてきた可愛そうな女…………夫と離れられて、ようやく自由を手に入れたのよ……なのに、何がいけないの? 好きに生きて悪いの? 私は自由に生きちゃいけないの!? 私、間違ってるの!?」


みどりの言葉に、黒斗はゆるゆると首を振り、口を開く。


「間違ってはいない。今まで虐(しいた)げられてきた分、反動で箍(たが)が外れたっておかしくない」

「でしょう!? それなのに、みきほは私を束縛して反抗してきた! 私が今まで苦しんでいたことを知りながらよ!?」

「そうだな。だが……今まで苦しんできたのは娘も一緒だろう」


黒斗の言葉に、みどりは思わず言葉を失う。