「何度目だ?」

「はっ……?」

「自分の幸せの為に、娘を犠牲にしたのは何度目だ?」


冷酷に言い放たれた黒斗の言葉の意味が分からず、みどりは無言のまま首を傾げた。



「……分からないなら教えてやろう」


そう言い終えるなり、黒斗はみどりの首を片手で絞め始めた。

「ひぎっ、が……!」



異常な握力で絞められ、黒斗の爪が食い込んでいる箇所から血が滲み、流れ落ちてゆく。


「グ、ィ……ヴヴ……」

息が出来ず、声を発することも出来ないみどり。

大きく開かれた目からは涙が溢れ、強く食い縛られた歯の隙間からも血混じりの唾液が漏れる。


「お前が自分の幸せの為に娘を犠牲にしたのは三度目だ。一度目は、パチンコ代の為に娘の身体を売ったこと。二度目は、殺意を持って娘を階段から突き落としたこと。三度目は、娘を殺したこと……」

「あ、がっ……」


黒斗は言い終わると、みどりの首から手を離し、距離を取った。