「誰かあああ!! 誰か助けてえ!!」

泣き叫ぶみどり。


ふと、床に転がったままの携帯が目に入り、それに向かって大声を出した。


「みきほ!! 聞こえてるんでしょ!? 救急車に連絡して、ママを助けてちょうだい! お願いよっ!」


『……………………』


返事は無い。


「みきほ、さっきのは謝るから、だから、たすけ……」

「今までさんざん酷いことをしておいて、自分が危うくなったら手のひら返して命乞いか……実に都合が良い女だな」



声がした方を見る。


黒いフードとドクロの仮面を着け、血濡れた大鎌を持つ人物が片膝をついて、みきほの亡骸に寄り添っていた。


「し……しにが、み……!」


ニュースや雑誌の記事で読んだ通りの姿を見て、みどりは黒フードの人物が死神であることを確信する。


「…………」


死神は無言で立ち上がるとフードを取り、仮面を外して素顔を晒した。


「アンタは……何処かで……」


黒斗の姿に見覚えがあるが、いつ、何処で会ったのかみどりは思い出せない。