『ザ、ザザ……いたいよ、くるし、ザ、よ、ザザ、たすけて、たすけ、ザザーザー、……』
「っ……うるさいっ!! 黙りなさい!!」
落として携帯を慌てて広い、震える手で通話終了のボタンを押す。
がーー、何度ボタンを押しても画面から“通話中”の文字は消えず、みきほの声も発せられ続ける。
『何で、何でこうなっちゃったの、ザザザ、あたしは、ただ……ザーザー、ママと、ザー、幸せに、ザー、暮らしたかった、だけなのに……』
「やめてやめてやめて!! やっと……やっと自由になれたのに、これ以上、ママを苦しませないでちょうだいっ!!」
声が出続ける携帯を投げ捨てると、みどりはみきほの死体に駆け寄り、包丁が刺さったままの首を強い力で絞めた。
ギリ ギリ ギリ ギリ
ミシッ、ブヂ ブチ
力任せに絞められるみきほの首から、更に血が溢れ出る。
『いたいよっ!! いたい、いたい、いたい! やめてよ、やめてよっ、ママー!!』
ノイズが消えて、今度はハッキリとみきほの悲痛な叫びが響いた。
それに比例して、みどりの握力も強まる。
「黙りなさい!! ママの幸せを願うなら、さっさと成仏してよっ! 私は……アンタの為に何年間も耐えてきた……それなのに恩を仇(あだ)で返すつもりなの!?」
ブチ ブチ ブチ ブチ
何かが千切れるような音が響く。
