─プルルルル
しかし電話は繋がらず、コール音が虚しく繰り返されるだけだ。
(何で出ないのよ!)
なかなか繋がらないことに苛立つが、やがて電話はブツリと音を立てて切られた。
─ツー、ツー、ツー
(おかしいわね……)
いきなり切れたことを不審に思いながらも、みどりは再度かける。
─プルルルル
だが結果は先程と変わらず、繋がる気配が無い。
─プッ
「あっ…………も、もしもし…………」
コール音が鳴りやみ、画面に表示された“通話中”の文字を確認したみどりは、怯えきったような声色で演技をする。
『……………………』
「……もしもし?」
声をかけるが返答は無い。
「……?」
違和感を覚え、みどりは耳元から携帯を離して画面を見る。
『ザ、ザザーザー』
「なっ!?」
いきなり大きなノイズが受話口から響き、驚きのあまり携帯を落としてしまう。
『いた、ザザザ、よ……ザー、ママ、ザー、してこうなっ、ザザッ、たの……?』
「み、みきほっ!?」
ノイズ混じりに聞こえてきたのは、たった今、殺した娘の声。
携帯とみきほを交互に見るが、みきほは確かに死んでいるし、携帯に表示された番号も“110”だ。
