「お願いします!! 出ていって下さい!!」
「……マーマ」
みきほが笑うことをやめても、みどりは土下座を続ける。
「お願いしますお願いしますお願いします!! 出ていって下さい、でていってよおおお!!」
「うるさいんだよ、このヒステリックババアアアァ!!」
みきほの怒鳴り声に、みどりがビクリと肩を振るわせ、顔を上げる。
「あたしのこと、どう思ってるの!? まだ娘として愛してる!? 正直に答えてっ!!」
「……愛して……なんかいないわよっ!! アンタは悪魔よ!! やっぱりあの男の娘だわ、恐ろしい!! 今までの恩を忘れて自分1人で育ってきたような顔をして、ふざけんじゃないわよ!! 親に暴力を振るう子なんて、もう娘じゃないっ!!」
喉が潰れそうな大声でみどりは叫んだ。
「へー、そうなんだー。まあ、そんな気はしてたけどねー」
幼子のような口調で笑うみきほ。
「でもねママ。あたしは、やっぱりママのこと好きだよ、大好きだよ。でも、でもね…………」
素早い動きでみきほが後呂に隠していた右腕を前に出し、大きく振りかぶった。
その右手に握られているのは、照明に照らされて鈍く光っている包丁ーー。
「いやあああああっ!!」
悲鳴をあげながら、みどりは包丁を持つみきほの右手を掴み、止める。
