「みきほ!? 何でアンタが居るのよ、病院は!?」
「…………」
みきほは質問には答えず、ジリジリとみどりににじり寄ってくる。
完全に目が据わっていて、不吉なオーラを発している娘にただならぬものを感じ、みどりは後ずさる。
「ママ、あたし聞いちゃった。今の会話、ぜーんぶ」
人形のように感情を欠片も感じさせない顔で言葉を紡ぐみきほに、みどりはゾッとする。
「ママは、あたしより、パチンコの方が、お金の方が、大切だったんだね」
「み、みきほ。貴女が何をするつもりか知らないけど、やめなさい。もう、本当に縁を切るわよ!?」
あまりの不気味さに恐怖を感じるみどりは、涙目になりながら叫ぶが、みきほは聞こえていないかのように眉1つも動かさない。
後退していくみどりの背に壁が当たり、追いつめられてしまった。
「ヒッ!」
目の前に迫るみきほは、悪魔のように恐ろしい笑みを浮かべていた。
「……ククッ」
「なっ……」
「アッハハハハハハハ!! ハハハハハハ!!」
狂ったように笑い出すみきほ。
そんな娘の様子が以前の父親とかぶって見え、無意識のうちにみどりの身体が震えだす。
「もっ……! もう、いい!! みきほ、アンタ、もういい!!」
恐怖感がピークに達したのか、みどりは大粒の涙を流しながら床に膝をつき、土下座をする。
