「それにしても、みどりさんも酷くね? 自分の娘を売るなんてさ」
「いいじゃない。あたしは今まで苦労して苦しんできたんだから、好きにしたって罰は当たらないわ。それに子供は親の言うことを聞くのが当たり前でしょ。あの子ときたら、育ててやった恩も忘れて口答えばかり……本当、どうしようも無い子」
田舎での退屈な暮らしに嫌気がさし、18歳にして家出同然に故郷を飛び出したみどり。
慣れない都会で、みどりは風俗商売をやりつつ何とか生活をしていた。
一志は店にやってくる客の1人で、みどりの美貌を一目で気に入り、執拗に求婚を迫った。
“一生をかけて大切にする”
“マンションに住んでいて金には困っていない”
そんな言葉に騙され、みどりは一志と結婚した。
実際には暴力を振るわれ、ボロアパートに住み、引き続き水商売をさせられることとなったのだが。
娘のみきほの機転をきっかけに、みどりは24年間続いた地獄から脱出し、自由を手に入れた。
以前から憧れていたパチンコに通い、中毒となったみどりの心は淀んでいった。
ーパチンコが楽しくて仕方なく、回していないと落ち着かない。
ー普段の生活が物足りない、刺激が足りない。
ー回したい、回したい、回したい。
欲求を抑えられないみどりは毎日、夜遅くまでパチンコ屋に入り浸った。
家事や娘のことなど日に日にどうでもよくなっていった。
みどりがパチンコ屋に居る時間が増えていくにつれて、不満が募っていったみきほの態度が悪くなっていったのだが、みどりは反抗してくる娘を逆に疎ましく思い始めた。
ーだって、こっちの方が楽しいんだもの
ーあたしは今まで苦しんできたの、だから今は自由を満喫したっていいじゃない。
ー言うことを聞かない娘なんか要らないわ。
みきほへの苛立ちと共に、つぎ込む金の量も増えてくる。
だが、金も無限に沸いてくる訳ではない。
負けが重なれば、金はどんどん減っていく。
みどりは勝てば調子にのって、更につぎ込み最後には負けてしまう性分だった為、金の減りは人一倍激しかった。
そんな中、将太と出会ったのは財布が底をついた時だった。
