病院から出て来たみきほは、真っ直ぐ自宅へと向かった。
大分良くなったとはいえ、足の具合はまだ完全では無い為、歩くスピードが遅く、長距離移動の為か足に鈍痛を感じ始める。
だが、母の本心を知りたい一心でみきほは痛みに耐え、己の身体を叱咤(しった)しながら歩き続けた。
そして、ようやく自宅に辿り着いた時には、時刻は午後23時すぎ。
あの青年が言っていた時間にタイミング良く辿り着いたのだ。
(これで……ママの気持ちが分かる!)
緊張感からか、心臓の鼓動は早くなり、ドクンドクンと音を鳴らせる。
早まる気持ちを抑えつつ、みきほは音を立てないよう慎重に、ゆっくりと玄関のドアノブを回す。
鍵が掛けられていなかった扉は音もせずスムーズに開かれた。
扉を通り、5日ぶりの我が家に入ったみきほは靴脱ぎ場に、母と自分以外の革靴があることに気付く。
ー誰か来ている
そう思ったみきほは、辺りを警戒しながら母の姿を探して進む。
「でもね、あの台つまんないのよ。盛り上がりにかけるというか何と言うか!」
やたらとテンションが高い母の声がダイニングから聞こえ、みきほは扉の隙間から中の様子を覗き見た。
ダイニングに居るのは母、そしてスーツを着崩している、見るからにチャラそうな男。
