「……ケイちゃん、どないしたん?」
鈴に声をかけられ、現実に引き戻された恵太郎は頭を振って脳内の映像を消し去る。
「いや……ちょっと昨日の死神のことを思い出してたんだ」
恵太郎の身体が微かに震えだす。
「……恐ろしい奴だった……。大きな鎌で、俺の……右足を……」
俯いて、今は無き右足があった場所を見やる恵太郎。
「傷の具合は大丈夫なん?」
「……右足を切り取られた直後は、血が大量に出て死ぬかと思ったけどさ……あの死神が立ち去った後に、突然血が止まって傷口も塞がったんだ。
……絶対にアイツは人間じゃない! 特にあの……仮面の奥に見えた真っ赤な目……! 思い出すだけで身の毛がよだつ!」
俯きながら頭を掻きむしる恵太郎を、黒斗と鈴は黙って見守るしか出来なかった。
「……今日はもう帰ってくれないか。いや、しばらく来ないでくれ。誰かと会う気にもなれないし、それに……」
一呼吸置いてから、恵太郎はポツリと呟いた。
「月影には悪いが……お前の赤い目を見てると、あの死神を思い出して嫌なんだ……!」
「……分かったよ。今はゆっくり休んどけ」
こちらを見ようとしない恵太郎に、黒斗はそう言うと、鈴と共に病室を後にした。
