午後22時すぎ
消灯時間が過ぎ、静寂に包まれた赤羽病院。
(……やっぱり、出れそうにないなあ)
みきほは物陰に隠れて、病院内を見回っているけいびの様子を伺っていた。
あれから病室に戻った後も、みきほは青年の言った言葉が気になって仕方がなかった。
本当に母の気持ちを知ることが出来るならば……そう思ったみきほは、どうにか家に戻ろうと行動を開始したのだ。
正面玄関は予想通り閉まっていたので、非常口から出ていこうと考えたが、やはり警備が厳しく、中々動けない。
さて、これからどうするか。
脳みそをフル回転させて案を練るが、良い考えは浮かばない。
ドサッ、バタ
その時、みきほの耳に重たいものが倒れるような音が届き、それが聞こえた方面に視線を向けると、先程まで元気に動き回っていた警備員達が皆、倒れていた。
(な、何が起きたの!?)
死んだように動かない警備員達を心配して駆け寄るみきほ。
膝をついて容態を確かめる。
誰かに襲われたような外傷は無く、呼吸も安定していて苦しんでいる様子は無い。
(……これが、“その時”ってやつ?)
警備員達が突然眠ってしまう不自然な現象が、あの青年の言っていた、病院から出られるタイミングなのだろう。
みきほはゆっくりと立ち上がり、非常口から病院の外に出ていった。
