「……どういうことや……大神くんのこと、みきほさん知らないやないか」
みきほの病室から離れた場所で疑問を口にする鈴。
「ま、まさかとは思うけど……大神くん、ストーカーやったりするんかな?」
「……それは無いだろう」
有りそうだが有り得ない鈴の考えを、黒斗は首を振って否定する。
「せやな……やっぱり大神くんを問いただすしかあらへんかな」
「都合が悪くなったらだんまりの男だ。そう簡単に口を割らないと思うがな」
「……何にせよ」
後ろで黒斗と鈴の会話を聞いていた玲二が、ようやく口を開く。
「あの大神って人に、あまり近づかない方が良いと思う……不気味、だし……」
消え入りそうな声で呟かれた玲二の言葉に、鈴が腕を組んで答える。
「とはいえ、同級生やからイヤでもウチらは顔合わせんといけないんやけどな。……でも、確かに大神くんって変なとこ多いな……」
「……本当は、大神さんが死神だったりとか……」
「いやいや! まっさかあ、ありえへん!」
玲二の大神死神説を、鈴が手を振って否定する。
「………」
一方、黒斗は玲二が言った通り、大神が人間ではない可能性を考えるが、やはり筋は通らなかった。
大神が人外だったならば彼を一目見た瞬間、そういった気配を僅かにでも感じる筈なのだ。
だが黒斗は大神に嫌悪感を抱いても、そういった類いのものは感じなかった。
「……何にせよ、奴は怪しい。佐々木の言う通り、あまり大神には近づくな」
「うーん……まあ、2人がそう言うなら分かったわ」
黒斗と玲二の警戒を聞いて、ようやく鈴が首を縦に振った。
(……しかし俺以外の死神に、怪しい男子高校生……人間界にも随分と変なのが沸くようになったもんだ)
増えていくばかりの謎に、黒斗は深い溜め息を吐くのだった。
