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「みきほ!? アンタまだ起きてるの!? 毎晩毎晩、夜遅くまで起きててバカじゃないの!」


みどりのヒステリックな声で、みきほは回想から現実に引き戻された。


「……おかえり」

「お帰りじゃないわよ! 明日も学校なんでしょ! 早く寝なさい! あと台所に置いてある鍋、何が入ってるの!? 何か泡立ってたけど!」

「それ、カレーだよ。今日、友達が作ってくれた。あたしも少しは手伝ったんだ、ママも食べたら?」


カレー、と聞いた瞬間、みどりは表情を大きく歪ませた。


「あれがカレーですって!? あんな気持ち悪い物体すぐ捨てなさい! 豚のエサにもならないわ!」


みどりの酷い暴言に、みきほの頭に血が登った。

わざわざカレーを作ってくれた黒斗達の誠意、不慣れな包丁を悪戦苦闘しながら野菜を切った自分の努力、そしてイヤな顔1つせずに、自分に包丁の使い方を教えてくれた鈴の優しさ。

それら全てをバカにされ、否定されたように感じたからだ。



「……何で、そんなこと言えるの? 悪いのは見た目だけで、すごく美味しいのに。食べもしないで捨てなさいとか、気持ち悪いとか!! 作った人に失礼とは思わないの!?」


「何を大声出してんの! 静かにしなさい! あんなカレーよりもママが作ったご飯の方が美味しいし、好きでしょ? 今度作ってあげるから、アレは捨てとくわよ」


悪びれる様子も無く言い切ったみどりに、みきほはキレた。


「へえ!! 今度っていつ!? 何月何日何時何分何秒!? 口ばかりで、実際に作ったことなんかないじゃない!! いつもパチンコばっか行ってるくせにっ!!」

「誰がパチンコに行ってるって!? 行ってないわよ! 仕事だって言ってるでしょ!!」

「嘘つき!! あたしが何も知らないと思ったら大間違いなんだから! ママの嘘つき、嘘つきー!!」



パンッ



癇癪(かんしゃく)を起こして泣き叫ぶみきほの頬を、みどりが思い切り平手打ちした。