「ねえ、みきほさん…今日もお母さん帰り遅いの?」
遠慮がちに聞かれた質問に、みきほの眉がピクリと動いた。
「…そうだよ。だから何? あんたには関係ないし、ママの帰りが遅いのだって、慣れてるから何ともないし」
不機嫌そうに言いながら、みきほは台所に向かう。
「ご、ごめんなさい…。でも、みきほさん、寝てた間、ずっとママ、ママって言ってたから……それに、いつも寂しそうだし…。何か悩んでることが、あったら言ってね。オレはバカだから、力になれないかもだけど、兄貴や鈴ちゃんだったら、きっと相談のってくれるよ」
「…………」
玲二の言葉に何も答えずに、みきほはダイニングを後にした。
「起きたのか。もう飯は出来てるぞ」
ダイニングに現れたみきほを見た黒斗が、声をかけてきた。
「お待たせ! 温かい内に食べてな! その間にウチらは後片付けをして、帰るから!」
鈴に何故か泡立っている紫色の不気味なカレーが盛られた皿を手渡されたみきほが、窓の外を見ると、すっかり日が暮れていた。
「ありがとう」
皿を持ったみきほはダイニングに向かい、テーブルに着いてカレーを食べた。
昨日と同じく、見栄えの悪さに反して味は良かった。
だが、カレーを食べている間も、さっき見た夢が引っかかり、気分は晴れなかった。
