「……さん、みきほさんっ!」
自分を呼ぶ声が聞こえて、みきほの意識がゆっくりと浮上する。
重たい瞼を開けて、俯せていた顔を上げると、こちらを心配そうに見つめる玲二と目が合った。
「あれ……? あたし……」
ボンヤリする頭のまま、辺りを見回すと見慣れたダイニングが視界に入った。
それと同時に、先ほどの出来事は夢だったのだと理解する。
「あたし、寝てたんだ……」
「そうだよ! うなされてたから、つい起こしちゃったけどね…ごめんなさい」
ペコリと頭を下げる玲二。
一方みきほは、睡眠前の記憶を探る。
「あ、みきほさんね、野菜切り終わったから、鈴ちゃんに休憩するよう言われたんだよ。でも椅子に座るなり、みきほさんすぐ寝ちゃったんだ。たぶん、慣れないことをやって疲れたんじゃないかな」
腕を組んでいるみきほの考えを察してか、玲二が状況を説明した。
「もうすぐカレー出来るよ! 鈴ちゃんと兄貴が仕上げしてる!」
言われれば確かに、カレーのスパイスが効いた美味しそうな匂いがしている。
