みきほの母、みどりはチェーン店のパン屋に勤めている。
基本的に就業時間は午前5時から午前10時までで、残業やらで遅くなっても13時か15時には終わる。
そんなみどりが、夜遅くまで何処に行ってるのかと言うと、答えはパチンコ屋である。
重度のパチンコ中毒者であるみどりは、娘に仕事と偽って、毎日パチンコ屋に通っているのだ。
今日も例外ではなく、みきほが15時頃に母が勤めているパン屋に電話をかけたら、午前10時には仕事が終わって帰ったと言われた。
(……昔は、あんなんじゃなかったのに。どうして変わっちゃったの……)
ガックリと項垂(うなだ)れて、変わる前の……昔の優しかった時の母を思い出す。
“みきほちゃん。みきほちゃんはママの宝物だよ”
“みきほちゃんが居るから、ママは生きていけるの”
“みきほちゃんは、そのままの優しい子でいてね”
“みきほちゃん、ママと2人で頑張ろうね。そして幸せになろうね”
「……ママは今、幸せかもしれないけど……あたしは幸せじゃないよ」
生気の無い眼から、一筋の涙が零れ落ちた。
