ファミレスを後にした黒斗達はハイテンションの鈴に引っ張られ、スーパーに向かった。
鈴が作るのは、みきほ1人分の晩ごはんだけだが、万が一の事態に備えて黒斗と玲二も付き添う。
スーパーでは鈴が、みきほに許可をとり、パプリカやらタマゴやら様々な材料を買い物カゴに入れていく。
「……あのさ。本当に大丈夫なの?」
さすがのみきほも不安になったのか、傍らにいる黒斗に問いかけるが、彼は黙って俯いたままだ。
黒斗は鈴の料理の腕前を語れるほど、詳しくはない。
何せ、黒斗が食べているのはスクランブルエッグやら目玉焼きといった簡単な物ばかりなのだ。
本格的な料理は見たことがない。
「まあ…大丈夫だろ…。たぶん」
そんな他愛のない会話をしている間に買い物を済ませた鈴が戻ってきて、スーパーを後にした。
「……ここがあたしの家。3階に住んでる」
ごく普通の3階建てのアパートを指さしながら、みきほが言う。
階段を登り、【風祭】と書かれた札がついている扉を開いて中に入る。
広い一軒家に住んでいる黒斗には、若干狭く感じられるが、母親とみきほの2人暮らしならば丁度いい広さだろう。
「よーし、それじゃ早速とりかかるで!」
制服の袖を二の腕まで捲り、台所に立った鈴が買い物袋を漁りながら言った。
「何が出来るかはお楽しみやから、台所を覗いたらアカンで!」
鈴がそう言うので黒斗達はダイニングへ向かい、大人しく席に座って待つ。
