とあるファミレス内
「それでは……ありがたく頂戴します! いただきますー!」
注文していた大盛りオムライスが届き、玲二が無邪気にはしゃぎながらがぶりつく。
「……お前は“遠慮”という言葉を知らないのか?」
ブラックコーヒーを啜りつつ、黒斗が呆れたような眼差しで玲二を見る。
「ふぉれへも、えんふりょひたんはよ?」
「何言ってるか分からないし汚い。飲み込んでから喋れ」
注意を受けて、玲二が口に含んでいた食べ物をゴックン、と飲み込んだ。
「これでも遠慮したんだよ? 普段なら大盛りオムライスにコーラ。あとオニオンスープとフライドポテトLサイズ、デザートにチョコレートパフェも外せない!」
「……お前の母親に同情するよ」
当たり前のように言い切った玲二を見て、そうとう食費に金を使っているであろう佐々木を、初めて気の毒に思った。
「あの…ほんまに良かったんですか? 奢ってもらっちゃって……」
遠慮がちにショートケーキを頬張りながら、鈴がみきほに上目使いで訊(たず)ねる。
「しつこい。いいって言ってるし、誘ったのもあたし。お金なら有り余ってるし。どうせ弁当買うことにしか使わないから……」
「弁当? みきほさんのお母さん、料理せえへんのですか?」
「ママは仕事で帰りが遅いから」
「そうなんですか……嫌なこと聞いて、すんません」
頭を下げる鈴だが、みきほは無表情のままメロンソーダをストローでかき回している。
あまり気にしていない様子だ。
