「……あの女がどうしたんだ?」

黒斗が鈴に疑問をぶつけるが、鈴の耳にその言葉は届いていない。


(あの子…あんな所で立ってて……まさか自殺!?)

鈴の脳裏に物騒な考えが浮かび、全身から血の気が引いていく。


橋の上+憂(うれ)いの表情。


少々、短絡的な鈴がそう思うのは無理も無いかもしれない。


「あぶなーーい!!」

言うが早いが、鈴は少女に向かって全速力で走り、勢いそのままにタックルを繰り出した。


「キャアア!?」

突然の出来事に、少女が悲鳴をあげながら鈴に押し倒された。

「あ、あわわ! 鈴ちゃん、何を!?」

鈴の考えを知らない玲二が慌てて、駆け寄っていく。

黒斗も玲二に習って、鈴の元に急いだ。


一方、騒ぎを起こしている張本人は少女の体に乗ったまま説得を試みる。


「アンタに何があったのかは知らんけど……死んだらアカン! 生きていれば、きっとエエ事があるんやで!?」

鈴の熱い説得を聞いて、状況が分かった少女が苛立ったような表情を浮かべた。