清々しい朝


「んー。今日もええ天気やなあ」

心地よい朝日を浴びながら、鈴が大きく身体を伸ばす。

今日も黒斗と鈴は、いつものように一緒に登校している。


「あーにーきー!!」

「ん?」

後ろから聞き慣れた声が聞こえて、黒斗が振り返る。

すると、こちらに向かってノロノロと走って来る玲二の姿が見えた。


「おっはよー!!」

黒斗の鈴の前に辿り着いた玲二は、ビシッと敬礼のポーズをとり、挨拶をした。

「レイちゃん! 退院したんか!?」

驚きながらも笑顔で言った鈴の言葉に、玲二は頷きVサインをした。


「昨日、めでたく退院いたしました!」

「そっか! 良かったなレイちゃん!」


「…………」


鈴は玲二の退院を素直に喜んでいたが、黒斗は不自然な程に明るく振る舞う玲二に違和感を抱く。



「……随分と元気そうだな。親友が死んだわりに」

「ッ!」


冷たく言い放たれた黒斗の言葉に、玲二の顔から一瞬で笑顔が消え去る。


「ちょっ、クロちゃん! デリカシー無さすぎやで! レイちゃんは辛くても弱音吐かずに頑張ってるんやで!」

「だ、大丈夫だよ鈴ちゃん! オレは大丈夫だから!」


黒斗に食いかかる鈴を宥め、玲二は口を開く。


「有理が自殺したのは悲しいよ。でも……悲しんでても有理は帰って来ない。だから、せめて有理の分まで笑っていようと決めたんだ」

「……レイちゃん……」

「……そうか」


玲二の言葉に、2人はそれ以上何も言わずに話を終わらせた。