大勢の人間が行き交う赤羽病院の出入口。


騒ぎが起きてる訳でもなく、平穏で静かな時が流れていた。



だが





グジャアッ





重たい物が地面に叩きつけられて、潰れたような鈍い音が響き、その場にいた全員が音が響いた方向を見やる。




そこにあったのは、グチャグチャに潰れた肉の塊。




頭部の割れ目からは脳みその破片と、透明な液体と真っ赤な血液が飛び出ている。

衝撃に耐えきれなかった眼球は穴から飛び出しており、薄い線で辛うじて身体と繋がっている。

折れ曲がった股の間から漏れた汚物が血だまりに混ざり、周囲に悪臭を醸し出している。




ソレに人の――“黛 有理”の面影は無かった。






「キャアアアアアアアアアア!!!!!!」



誰かがあげた悲鳴を仕切りに、他の者も悲鳴をあげ、その場が阿鼻叫喚(あびきょうかん)の地獄絵図と変わった。