「何度目だ?」
カツ、カツ、と足音を響かせながら黒斗が有理に歩み寄る。
だが有理は恐怖のあまり、何も答えられない。
「殺人未遂は何度目だ?」
「…………」
有理はガタガタと震える左手を挙げて、指を2本たてる。
それを確認した黒斗は、呆れたような溜め息を吐き、有理の左腕の付け根に鎌を降り下ろした。
グジュッ
「ぎぃあああああ゛あ゛!!!!」
グチッ
ブチ、ブジィッ
悲鳴をあげている最中も、鎌は肉に食い込んでいく。
「や、やめ……」
グシュ
「は、う……あっ…」
鎌が食い込む度に、傷口から血が零れて腕を伝っていく。
「あ、ああ…………」
死神の正体が黒斗だと気づいていない玲二は猟奇的な光景から目を背けて、耳を塞いでいる。
「お前が友を殺そうとしたのは3度目だ。1度目は佐々木 玲二を刺した時、2度目は 三成 洋介を突き飛ばした時、3度目は今回のこと……」
ブヂッ
嫌な音と同時に、有理の左腕が擦れ動く。
「お前はやりすぎた。犯した罪に対する罰を受けてもらう」
ブチブチブヂィ
冷酷な言葉と共に、左腕が付け根から切り取られた。
「う゛あああああ゛あ゛あ゛ぁっ!!!!」
耳を塞いでも突き抜ける有理の悲痛な叫びに、玲二は涙を流して怯える。
「ぎ、ひぃ、……ッが…」
ブシュウッ
有理の切り取られた左腕の付け根からは、どす黒い血が零れ落ち、床の血だまりが広がっていく。
「う、で……が」
呆然としたまま有理は、黒斗の持つ鎌の切っ先に刺さったままの左腕を見つめる。
