「がっ!!」
強かに頭を打ち付け、一瞬意識が遠くなるが何とか堪える。
痛みに耐えて閉じていた瞼を開き、顔の近くに転がっている何かを見やる。
そこにあるのは、ナイフを握ったままの有理の掌だった。
「ひあああ゛あ゛ぁ゛!!!!」
悲鳴をあげながら、左手で転がっている掌を押して遠ざける。
上半身を起こして、その様子を見ていた玲二は吐き気を催した。
「テメエ玲二!!!! なにをしやがったあぁ!!」
鬼のような形相で玲二を睨みつける有理だったが、やがて恐ろしいものでも見てしまったかのように瞳孔を開き、固まった。
「はっ!?」
背後から気配を感じて玲二が振り向くと、そこには黒いフードと髑髏(どくろ)の仮面を身に付けた人物が立っていた。
(だ、だれ……!?)
痛む腹を抑えながら、よろよろと謎の人物から距離をとった玲二は、その人物が鎌を持っていることに気づいた。
「まさか……死神さん…?」
「…………」
死神…黒斗は玲二を一瞥した後、床に転がったままの有理の掌に歩み寄る。
「ま、まてっ!! 俺の手に何する気だ!!」
「お前には、もう必要ないモノだろう」
そう言うと黒斗は、切断された有理の掌に鎌を降り下ろした。
グシュッ
肉が裂ける音と共に、掌から血しぶきが散る。
パリィン
鎌が刺された掌は、一瞬でナイフごと砕け散った。
「あ……あ…ぁ……」
信じられない光景を目の当たりにした有理の身体が震え、股間から漏れた液体が血だまりに混じる。
