デスサイズ



「そんな……そんな理由でオレを……?」

「“そんな理由”だと……? 俺にとっては、これが全てだったんだよ!」


有理は乱暴に玲二を突き飛ばし、受け身を取れなかった玲二が倒れる。


「あの時、ちゃんと殺しておくべきだった。お前も洋介も、悪運が強かったばかりに……」

その言葉を聞いた玲二の顔色が、一瞬で青く染まった。


「……まさか。洋介を突き飛ばした犯人は……」

「そうだよ、俺だよ!! 俺が洋介を突き飛ばしたんだ!」

「でも、君だって襲われたじゃないか…?」

「あれは自分でやったんだよ。襲われた2人と親しい俺は真っ先に疑われる。だから疑いを晴らす為に、自分で足を刺したんだ」


あまりの狡猾(こうかつ)さに目眩を感じる玲二。

洋介までも殺そうとした有理に抱く感情が、恐怖から憎しみへと変わっていく。


そんな玲二の気持ちも知らずに、興奮状態の有理はベラベラと動機を語りだす。


「洋介が腕を切除された時、心底嬉しかったぜ。もうコイツは何も描けないって確信していた。だけど、アイツは足で絵を描きはじめた……まあ、どうせ足で描ける訳がないと思ってた……それなのにっ!」

ギリッと歯ぎしりをする有理の脳裏に、フランスで洋介に味あわされた屈辱が映し出される。