「これからは、ちゃんと言えなかったらお仕置きな。敬語も。」
いいな?と、意地悪な笑顔が私を捉えて言う。
ちょ、ちょっと…
これって、漫画とか恋愛小説とかでよくある展開じゃん。
お仕置きとかなんとか言いながら
相手の男の子に無理やりキスとかされちゃうあの展開…。
それがまさか、自分に降りかかるとは…
しかも相手はみんなの王子様だなんて、
これは、憧れシチュエーションすぎるんじゃな…「デコピンな。」
「…へ?」
「言えなかったりしたら、罰ゲームでデコピン。」
デ、デコピンーーー!?
なんだ…なんだ…
私てっきり…。
急に力が抜けて、シートにへにゃっと倒れこんだ。
「なにお前、もしかしてお仕置きでキスでもされるとか思ってた?」
「ちっ、違うもん!!!」
「へぇ〜〜。」
図星か。とでも言うように、
余裕な顔で笑う凌。
女の子の夢をあざ笑うなんて…、
やっぱこの人、悪魔だ…。